遺品整理業者のトラブルを防ぐためには、優良な遺品整理業者を選ぶことが重要です。
悪質な業者による、高額請求や遺品の破損などのトラブルは避けたいものです。
どんなトラブルが起きやすいのか、悪質な業者の特徴は何かを確認することで、優良業者を選ぶ手掛かりとなります。
具体的な遺品整理業者とのトラブルとその対策を紹介しています。
遺品整理業者を選ぶ際の参考にして下さい。
遺品整理業者のトラブル増加問題
超高齢化社会への突入とともに、遺品整理業者に関するトラブルが増加しています。
国民生活センターには、年間100件以上の遺品整理でのトラブルに関する相談が寄せられています。
遺品整理業者のトラブルが多い原因には、取り締まる業法が無いということが考えられます。
必要な許認可が無いのに遺品の回収・運搬を行い、適切に処理しない業者も存在します。
契約書の作成や見積もり額の提示をしないまま作業を行い、高額請求をする例もあるようです。
総務省が2021年に実施した調査によると、遺品整理業者数の顕著な増加はこの10年間くらいのことです。
戦後の第一次ベビーブーム世代が70代になり、単身高齢者が増加しています。
それに伴う遺品整理に対するニーズの増加から、新規に参入する業者が増えました。
きちんと認可をとり適切な作業を行う業者が多い中、遺品整理は儲かると安易に参入した業者もいるのが現状です。
遺品整理士認定協会に所属していない業者も合わせると、全国で2万社以上は遺品整理業者がいます。
遺品整理に関するノウハウを持たないので、大切な遺品を破損したり盗まれたりといった被害にあうことも。
参考:「遺品整理のサービスをめぐる現状に関する調査結果報告書」総務省
遺品整理業者のトラブル
遺品整理業者のトラブルの事例を紹介します。
- 貴金属・現金の盗難
- 不当な価格での買取
- 強引な勧誘による契約
- 多額の追加請求
- 遺品の不法投棄
- 粗雑な作業による破損
- 支払い後の債務不履行
遺品整理業者のトラブルを確認することで、同じような被害にあうことを防ぐことができます。
それぞれ確認しておきましょう。
貴金属・現金の盗難
遺品整理の作業中に、故人のタンス貯金や貴重品を盗まれたという被害があります。
遺族が目を離したすきに、貴重品などをポケットに入れてしまうこともあるようです。
一人暮らしの母の遺品整理を依頼しました。一軒家で4人作業の方が来て50万円でした。
作業途中に、母の大切にしていた宝石のことを思い出して探そうとしましたが、「もう無理」といわれて見つけられませんでした。
しばらくたってその業者が逮捕されたというニュースを見て、もしかしたら母の宝石も盗まれてしまったのかもしれないと思いました。
50代女性
対策
あらかじめ現金や貴重品は保管しておくようにしましょう。
故人が現金などを思いがけない場所に隠していることもあります。
>>遺品整理でネコババ?の記事で大切なものの隠し場所の例を紹介しているので参考にして下さい。
不当な価格での買取
価値のあるものを安く買い取る業者被害もあります。
「遺品だから相場よりも安くなりますよ」などと言って、遺族に適正な相場よりも安い金額を提示する手口です。
- 100万円以上した海外ブランドのバッグが1万円と査定された
- 50万円で購入した宝石を3,000円といわれた
など、明らかにおかしい査定をする業者がいます。
遺品整理を検討しているときに偶然を装って宝石の買取に来て、強引に貴金属を安い値段で持って行ってしまうことも。
対策
宝石や故人のコレクションなどは、専門の買取業者に持ち込んで査定してもらうことをおすすめします。
ものによっては相場よりも高く買取してもらえる場合もあるからです。
悪徳業者に依頼してしまうと、適正な相場価格で買い取りしてもらえない可能性があります。
価値がわからなくて安く査定するケースも少なくありません。
強引な勧誘による契約
強引な勧誘によって契約させられる被害もあります。
他の業者にも見積もりを出してもらうから後日連絡をするといったのに、契約するまで帰らないと言って玄関に座り込まれたというケースも。
高齢者や女性だけで対応すると高圧的な態度になる業者もいます。
大きな声を出されて怖い思いをしたという遺族もいます。
遺品整理の見積もりを数社に依頼。
すぐに見積もりに来た業者に、他の業者にも依頼していると伝えると態度が豹変。
「忙しいのにわざわざ来たんだから、契約するまで帰りませんよ」と玄関で大きな声を出されて怖い思いをしました。
運よく夫が帰宅し、警察を呼ぶというとすぐに帰ったのでほっとしました。
60代女性
対策
見積もりを依頼する前に信頼できる業者かどうか確認しましょう。
後ほど紹介しますが、悪質な業者にはいくつか特徴があります。
見積もりを依頼する前にホームページや口コミをチェックすることで、悪徳業者のトラブルに合うの防ぐことができます。
電話で問いあわせた時の言葉遣いや態度でも、誠実な業者かどうかの判断もできるでしょう。
多額の追加請求
多額の追加請求をされた被害もあります。
作業を全て完了し、トラックに積んでしまってから追加の作業をした費用の請求をしてくる場合があります。
払えないというと自分で荷物を下ろすように言われたり、元通りにするから見積もりの金額を支払うように要求することも。
こういった業者は見積もりの金額が極端に安い傾向があります。
遺品整理の見積もりで18万円だったのでお願いしました。
作業を全て終わって、追加で処分代がかかるから38万円払ってと言われてびっくり。
払えないというと不用品を戻すから18万円だけ払えといわれて、困ってしまいました。
結局38万円払って持って行ってもらいましたが、釈然としないです。
60代女性
対策
見積もりの内容をしっかり確認することが大切です。
作業・サービス内容が項目ごとに分かれていて、単価などの明細が記載されているか確認しましょう。
追加料金が発生することはないか、どんな場合に追加料金が発生するのかも見積もりの段階で問いあわせましょう。
見積もりに関する不明点について、はっきり回答してくれる業者を選ぶと良いですね。
遺品の不法投棄
遺品を回収して適切に処理せず、山林に不法投棄する業者も報告されています。
依頼主に対しては遺品を適切に処理を行うと言っていたのに、まとめて山奥に不法投棄し、警察から依頼主に連絡が来て発覚するケースもあります。
一人暮らしの父が亡くなり、コレクションの品や大量の薬の処分も遺品整理業者に依頼しました。
適切に処理するということだったのに、後日警察から私が不法投棄をしたという連絡が……。
薬袋から名前がわかったということで、遺品整理業者に依頼したと事情を説明することに。
見積もりも契約書も出さないような業者に依頼してはいけないと、注意されてしまいました。
60代男性
対策
信頼できる業者か確認することが大切です。
見積もり書や契約書の内容が明確であることが重要です。
全部でいくらでいいですよ、という適当な業者は不誠実な対応をするかもしれません。
言葉遣いや態度からも、信頼できる優良業者かどうか判断できる場合もあります。
粗雑な作業による破損
粗雑に遺品を扱われて破損してしまったという被害もあります。
遺品を壊してしまうだけでなく、建物にキズを付けてしまうこともあります。
経験の浅い業者は遺品整理のノウハウがないので、乱暴に遺品を扱う可能性があります。
遺品整理の見積もりを出してもらって、そこの業者が安かったのでお願いしました。
母の大切に使っていたものを、投げるようにトラックに積み上げてやるせない思いに。
丁寧に扱ってほしいというと、作業の邪魔といわれて改めてくれないので、作業を中断してもらいました。
安いという値段だけで決めてしまったことを後悔しました。
50代女性
対策
見積もりの段階で、誠実に対応してくれる業者かどうか見極めることが重要です。
丁寧な言葉づかいで、清潔感のある服装であるかチェックしましょう。
当日の作業内容や見積もりの明細について、詳しく説明してくれる業者を選ぶと良いですね。
説明だけでなく、こちらの要望を聞いてくれるかどうかも、優良な遺品整理業者かどうか見分けるヒントになります。
支払い後の債務不履行
費用を支払ったのに、当日作業に来なかったという事例もあります。
こういった業者は、見積もりをして前払いを請求する場合が多いです。
- 現金での前払いを請求する
- クレジットカードが使えない
上記の業者には気を付けましょう。
料金を支払ってから、当日来ないので電話をしても連絡がつかないことも。
一人暮らしの父の遺品整理の見積もりをしてもらい、そのまま依頼しました。
事前の振り込みを指示されたので振り込みました。
当日いくら待っても来ないので、電話をしたところ連絡がつかず。
結局作業はしてもらえませんでした。
60代男性
対策
前払いという業者には注意しましょう。
遺品整理の費用は、作業を全て完了してから後払いか、作業当日に現金支払いといったケースが多いです。
クレジット払いにも対応している業者もいるので、前払いを要求する場合は要注意です。
見積もりの段階で不明瞭な点が無いか、しっかり確認することが重要です。
悪徳業者の特徴
悪徳業者の特徴を紹介します。
- 極端に安い見積もり料金
- ホームページがない
- 出張見積もりをしない
- 必要な許認可がない
悪徳業者のトラブルに合わないように確認しておきましょう。
>>遺品整理業者の選び方も参考にしてください。
極端に安い見積もり料金
極端に見積もり料金が安い業者は、悪質な業者の可能性があります。
まとめていくらでいいですよ、という業者も注意が必要です。
見積もりは複数社からとって、費用相場を確認するようにしましょう。
ホームページがない
ホームページが無い業者は注意しましょう。
ホームページには
- 会社の所在地
- 電話番号
- 代表者名
- 所持している資格など
が記載されています。
ホームページが無い業者は、過去に検挙されていたり、トラブルがあった場合に情報を残しておきたくないなどの理由が考えられます。
出張見積もりをしない
出張見積もりをしない業者は悪徳業者の可能性があります。
これは、実際に状況を確認しないと正確な見積もりは出せないからです。
電話やメールで適当に見積もりを出し、実際に作業をしたら追加の費用が発生したと言って高額請求する可能性も。
現地で遺品を確認し、正確な見積もりを提示する業者に依頼しましょう。
必要な許認可がない
必要な許認可が無い業者は気を付けましょう。
なぜなら、適切に遺品を処理しなかった場合、依頼主が処分を受ける可能性があるからです。
遺品整理業者は「一般廃棄物収集運搬業」の許可を取得している、もしくは許可業者と提携している業者を選びましょう。
許認可についてはホームページで確認することが大切です。
悪質な遺品整理業者ともめるのを防ぐ対策
悪質な遺品整理業者ともめるのを防ぐための対策を紹介します。
- 優良業者に依頼する
- 見積もりの内訳をしっかり確認する
- 貴重品などは事前に整理しておく
- 作業に立ち会う
遺品整理業者とのトラブルについては>>遺品整理のやばい業者トラブルの記事も参考にしてください。
優良業者に依頼する
トラブルに合わないように、優良業者に依頼することが大切です。
依頼する前に、前述した悪質業者の特徴が無いかチェックしましょう。
遺品整理士の資格のある業者も、優良業者と判断できる鍵となります。
ホームページや口コミからも、優良業者かどうか判断することができるでしょう。
見積もりの内訳をしっかり確認する
見積もりの内訳をしっかり確認することが重要です。
これは、悪質業者の見積もりは不明瞭な内容があることが多いからです。
作業内容に対していくら費用がかかるのか、明確にわかる見積もりを提示する業者がおすすめです。
こちらに対して質問をしたり、遺族の希望に配慮してくれる業者に依頼したいですね。
貴重品などは事前に整理しておく
現金や貴金属など貴重品は、業者が作業する前に整理しておきましょう。
常に遺族が作業を監視し続けることは難しいからです。
遺族の目を盗んでポケットに入れたり、処分するものに紛れ込ませてしまうケースもあります。
故人が現金など大切なものを隠してないか、事前に探しておくと良いでしょう。
作業に立ち会う
遺品整理の作業に立ち会うことも、業者ともめるトラブルを防ぐのに役立ちます。
遺族が見ている状況なら、乱雑な作業や窃盗のリスクを減らせるからです。
業者によって立ち会う必要はないとすすめてくるケースがあります。
遠方に住んでいて、立ち会うのが難しい場合は仕方がありませんが、極力作業には立ち会った方がトラブルが起きません。
遺品整理業者とトラブルになった時の連絡先
遺品整理業者とトラブルになった時の連絡先も確認しておきましょう。
- 消費者センター
- 警察
消費者センター
高額請求をされたり、怪しいと感じた場合は消費者センターに連絡しましょう。
消費者ホットライン「188」に連絡すると、最寄りの消費生活センターにつないでくれます。
悪質業者のトラブルに対して解決するためのアドバイスをしてくれます。
警察
遺品を盗まれたり、遺品整理業者が脅かしてくるような態度で恐怖を感じるような場合は、警察に連絡をしましょう。
警察に相談するほどのことか悩む場合は「♯9110」にかけると警察相談ダイヤルにつながります。
遺品整理業者による犯罪やトラブルは、まずは相談ダイヤルを利用してもよいですね。
まとめ
遺品整理業者とのトラブルは年々増加しています。
超高齢化社会となった現在、遺品整理の需要が高まり、ノウハウを持たない業者の新規参入が急増したことが原因と考えられます。
トラブルに合わないためには優良な遺品整理業者を選ぶことが重要となります。
見積もりの内容を確認し、信頼できる業者を見極めるようにしましょう。
遺品ドット東京は遺品整理士が在籍しています。
遺品整理業者を選ぶのに迷った場合は、気軽に相談してみてくださいね。